2021年5月【GEW】INSIDE STORY ドラコン団体とゴルフ場 異色のタッグを描く再構築とは?

 


 
 「世界大会ができるドラコンホールを全力でつくります」
 
 「ありがとうございますッ。身が引き締まる思いです」
 
 那須小川GCの篠﨑暢宏社長と、日本プロドラコン協会(JPDA)の松谷伸次代表理事が、意気投合。新たな試みに挑戦するという。
 
 前者はかつて、栃木県内に36ホールを展開していたが、2013年に18ホールを閉鎖して、現在は18ホールと練習専用の3ホールで営業中。一方の後者は国内に6団体ある「ドラコン協会」のひとつで、会員534人の飛ばし屋集団。両者が意気投合した理由はどこにあるのか?まずは篠﨑社長の説明から。
 
 「当社は過去20年にわたり女子ツアーの『那須小川レディス』を開催、日本ジュニアゴルフ協会の大会を開催したこともあります。ただ、競技で難しいイメージがつきましてね、一時は方針転換で大衆向けを目指したものの、矢板IC(東北自動車道)から20㎞以上とあって集客に苦労したんです。それで再度、競技志向に戻ろうと思っていた矢先に」
 
 松谷代表と出会ったという。出会いは必然を伴うもので、JPDAにも事情があった。同団体はドラコンを切り口に様々なイベントを行っており、所属の男女プロと一般アマを絡ませることで収益構造をつくっている。
 
 看板娘は押尾紗樹で、彼女を筆頭にSNSの多用でファンを獲得。プロ・アマ合同のドラコン競技や4人でスコアを競うスクランブル大会など、200名規模のイベントを年10回ほど開催して、他のドラコン団体と棲み分けを図っている。昨年11月には「パッティング協会」を立ち上げるなど松谷代表はアイデアマン。
 
 「篠﨑社長の申し出は、我々にとって非常にありがたいのです」
 
 と前置きして、同氏が続ける。
 
 「那須小川GCには宿泊施設があり、フィールドも広いので様々なイベントを開きやすい。それと『東の拠点』という意味でも期待できます。JPDAの日本大会はこれまで、鹿児島県の練習場・三豊ゴルフクラブ(南九州市)で行ってきましたが、『西の三豊』『東の那須小川』で東西のドラコンの聖地ができる。これは大きな励みになります」
 
 そんなわけで今年3月、那須小川GCは練習コースの一部と遊休地の改造に着手、5月中旬の完成を目指してドラコン専用ホールを造成中だ。ティーイングエリアは高台にあり、約200ヤード先は受け斜面だが、これを超えると400ヤード先までが平坦な地形。改造費は約500万円で、外部に委託すると2000万円以上掛かるというが、
 
 「重機を動かせる花田利正支配人を筆頭に、全従業員40名が作業に当たってくれています」(篠﨑社長)
 
 完成の暁には、11月の「プロドラコンツアー全日本選手権」を開催するほか、プレイベントとして初めて女子の「トーナメント&ドラコン大会」も計画されている。JPDAはダンロップとボール提供契約を交わしており、今年3月のジャパンゴルフフェア(パシフィコ横浜)では、押尾ら人気女子選手がシュミレーションゴルフで圧巻の弾道を披露、多くの「カメラ小僧」のフラッシュを浴びていた。といったように、ギャラリーを沸かせる術を心得るから、篠﨑社長の期待も膨らむのである。
 
 「当コースはもともと、競技会場としての認知度が高いのえ、その部分をもっと広げていきたいですね。一時は大衆路線を目指しましたが、JPDAとの連携で本来の強みを生かします」
 
 SNSでの拡散を得意とする押尾紗樹。そして、銃器捜査が得意な花田利正支配人。5月のドラコンホール完成に向けてくれぐれも、怪我や事故には気を付けてもらいたい。